大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和26年(ラ)81号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事實〕

相手方(住所千葉市)が抗告人(住所呉市)を相手として千葉家庭裁判所に子の認知並びに慰籍料請求に関する調停を申立てたところ、右事件は同裁判所の管轄に属しないものであるが、家事審判規則第四条但書の規定にもとづき自らこれを処理する必要ありとし、調停期日を定め、当事者双方を呼出したところ、抗告人は管轄裁判所である広島家庭裁判所呉支部に移送ありたき旨申出た。原裁判所は昭和二十六年二月六日この申立を却下する旨の裁判をなし、右裁判は同年二月十一日抗告人に送達された。抗告人はこれを不服とし抗告状を同月二十九日原裁判所に提出し、東京高等裁判所宛て抗告の申立をした。しかるに原裁判所は、東京高等裁判所に右抗告状を送付することなく、同年三月二日自ら右抗告を不適法として却下する旨の裁判をした。すなわち、原裁判所は、家庭事件の移送の申立を却下する裁判に対する不服申立は、家事審判法第七条、非訟事件手続法第二十五条の法意に徴し、民事訴訟法第三十三条によるのが相当であるとの見地に立ち、抗告人の右抗告は七日の即時抗告期間を経過した不適法なものと解したのである。抗告人はこれを不服とし更に抗告をするに至つた。

〔判斷〕

抗告審は先づ「原審千葉家庭裁判所がなした移送申立却下の裁判に対する抗告については高等裁判所が裁判権を有する。このことは裁判所法第十六条により明かで、原裁判所が右抗告に付き自ら裁判をしたのは違法である。」として原審が昭和二十六年三月二日なした抗告申立を却下する旨の決定を取消し、

次に、家事調停事件の移送申立を却下する裁判に対し不服申立の途ありや否やにつき左の通り判示し、原審が同年二月六日なした移送申立却下の決定は結局正当なりとしこれに対する抗告を棄却した。

「家事審判法第十四条において、『審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる云々』と規定しているが、この規定の趣旨は家事審判法にもとづく審判に対する不服申立は最高裁判所が定めをしている場合には即時抗告を許すことを明にすると共に、特に不服申立をすることができる旨を定めないものについてはこれを許さないことを定めたものであると解する。そして、家事審判法並びに家事審判規則にもとづく家庭裁判所の裁判は、すべて審判と称すべきものであることは右法規を通読すれば自ら了解しうるところであるから、調停事件の移送申立却下の裁判についても同条の適用があるものというべきところ、これに対しては家事審判規則その他の規則中に不服申立をすることができる旨を規定するところがないから右理由によつて家事審判法上これに対しては不服の申立は許さないものといわなければならない。よつて原裁判所のなした移送申立の却下決定は正当で、この点についての告告は理由がない。」

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!